鎌倉時代の 女性の半生記(ほぼ一生)を描いた とはずがたり という書物を元にした小説で よくできた小説だったし おもしろかった。
たまたま とはずがたり は彼女を一目見た男は 力ずくでも彼女を自分のものにしようとする という鎌倉時代の美女とはどんなものだったのだろう? と興味を持ったのがきっかけ。 古文は苦手なので 現代語訳か それを元にした小説はないかなと探して これがいいかな? と選んだ。
4歳で後深草院の後宮にはいり 女房となり14歳で院の寵愛を受け、皇子を産みながらも 妃になることはなく 後見人にも恵まれないところがあり 寵姫といわれながらも 様々の男性にも求めながらも 単純に幸せとはいえない数奇な一生を送った二条とよばれる女性。 子どもを4人産むのだが 二人目の恋人との間の娘は恋人の家来の家の養女となり 中流貴族の娘をして当時としては 恵まれた穏やかな人生を送るのだけど その娘が養父と夫を亡くした後36歳ぐらいの時に実母の書いた書物を手にいれ それを読む。二条の人生もすごいけど 娘露子もいろいろ自分の人生に思うことがあることを 語るという趣向。そこが良かった。最後は夫の浮気でできた娘が母親を亡くし 窮地にたっているのを知り引き取るところで終わっていた。義母も賛成して。当時の社会、結婚とか女性の立場とか 仕方がないと思っていても女性たちは心の中ではいろいろ思うことがあっただろうなと推測される。
二条に戻っているならば 当時の権力者とかいろいろ身分の高い人物が名指しで出てくるので ちょっといいのか?と思ったけど とはずがたり というものが公開されたのは昭和に入ってかららしい。